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学校飼育動物支援

はじめに

 小学校の学習指導要領の生活科での動物飼育は、地域の獣医師からの指導を受け連携して飼育をしていくこととあり、健康な動物とのかかわりが重要であるといっています。
 現代社会において、子どもが成長する時に一番大切なことは「生きる力」を身に着けることだと言われています。そのためには、自分を大切にすること、人を思いやること、さまざまなものに興味をもつこと、明るく活力をもつこと、いろいろなものを大切にすることなど、たくさんのことをあわせ持つ必要があります。
 小学校における動物飼育は大きな意味があり、生きる力を身に着ける一助にもなっているともいわれています。その他、責任感や愛情を育み、自然科学、生命、芸術に興味をもつ効果も認められています。
 公益社団法人新潟県獣医師会では、小学校、中学校、幼稚園、特別支援学校の飼育動物の衛生と健康を保持し、効果的に教育をできるように、健康診断、診療、飼育指導を行っています。また、災害時の対応としても、飼育管理の助言や協力ができるよう体制づくりをしています。
 新潟県獣医師会は子供たちのため、全面的に協力する体制づくりを進めています。

学校飼育動物の存在意義

 学校で動物を飼育することは児童、生徒にとって様々な効果があることが認められていますが主なものは下記に上げるものがあります。
(1)生命の理解の一助
(2)愛情や思いやり精神の育成
(3)責任感の芽生え
(4)自然科学への興味をもたせる
(5)明るさ、活力をもたせる
(6)他人とのコミュニケーションを活発化させる
(7)芸術心を高める
(8)その他

県教育庁への要望

 今まで学校飼育動物に関しましてはその重要性の認識不足、予算の問題、協力体制の不備など様々な問題により適切な飼育が行われていない場合が多い現状でした。
 新潟県獣医師会といたしましては平成11年5月、文部省(現文部科学省)の「小学校学習指導要領?生活編」の中で、小学校における小動物の飼育に関し、「地域の獣医師と連携して動物の適切な飼い方について指導を受けたり、常に健康な動物と動物とかかわることができるようにする必要がある」ことが明記され、平成14年から実施されることも踏まえ、学校飼育動物の適切な飼育に対し協力をして行きたいと考えています。
幼稚園及び小学校教育では、生物教育や道徳教育などを目的として、生活科、理科、総合的な学習の時間等において動物飼育を奨励しており、当県でも多くの小学校で動物が飼育されております。
動物飼育は子供達に生物を愛護し生命を尊重する態度を育てるとともに、生命を理解させ、他人への愛情や共感を養うなどの効果を期待されています。
しかし、学校で飼育されている動物は必ずしも、その生態、習性及び生理が十分に理解され、適正に飼育されてるとおは言い難い面もあり、また、病気に対する医療費も明確には予算化されておらず、その診療については獣医師の奉仕的な活動に委ねられているのが実情であります。
このような状況の中で、全国の各地で獣医師が学校での動物飼育に関わるようになり、近年、教育委員会が獣医師と連携して動物飼育を支援する事業を行う例が増加しております。また、社団法人日本獣医師会は、平成10年に文部省に対して初等教育における動物を活用した情操教育の必要性を提言し、学校で飼育する動物の衛生管理、保健衛生指導等について協力を申し出ております。
当会におきましても、平成6年度から新潟支部が新潟市と委託契約を交わし、学校飼育動物の健康診断・飼育指導及び診療を行い成果を上げるとともに、平成13年度からは学校飼育動物対策委員会を設置し、学校飼育動物に関する対応指針を定め、各地区に学校飼育動物担当の委員を配置するなど、その受け入れ体制の整備に努めてきたところです。
また、当会が実施した一部の小学校等へのアンケート調査でも、動物飼育に関しての相談口の設置、健康診断・飼育指導の実施、診療体制の整備等多くの意見・要望が出されております。
一方、平成14年、「動物の愛護及び管理に関する法律」の規定に基づく「家庭動物等の飼育及び保管に関する基準」が告示され、学校等においては、「管理者は、獣医師等十分な知識と飼養経験を有するものの指導の下に、本基準の各項に基づく適切な飼養及び保管に努めること。」とされ、また、本年、文部科学省から全国の小学校等に配布された「学校における望ましい動物飼育のあり方」には、「学校飼育動物の適正な飼育や管理を行うには、学校、自治体、獣医師会、地域ボランティア等が一体となったネットワークづくりと連帯体制の構築が必要である。」とされております。

これまでの取り組みと活動

 学校飼育動物の飼育指導、健康診断、診療についてはこれまで各学校が各動物病院へ個別に依頼をし、様々なスタイルで行われてきました。(来院、往診、無料、有料、一部負担等)しかしこれによる問題点も数多くあるため、新潟県獣医師会および新潟市獣医師会では現在まで下記のような経緯で活動してきました。
 
(1)平成6年から、新潟支部が新潟市と委託契約を結び、市内の幼稚園、小中学校で飼育される動物の診療、飼育指導を実施。
 
(2)平成11年5月、文部省(現文部科学省)の「小学校学習指導要領?生活編」の中で、小学校における小動物の飼育に関し、「地域の獣医師と連携して動物の適切な飼い方について指導を受けたり、常に健康な動物とかかわることができるようにする必要がある」ことを明記。(平成14年度から実施)
 
(3)平成12年7月、日本獣医師会が全国の地方獣医師会における取り組み状況をまとめ配布。(何らかの形で対応…24箇所、都道府県及び市町村の事業を獣医師会が受託…13箇所)⇒「これを参考に積極的に取り組む必要がある」と指導。
 
(4)文部科学省が「望ましい動物飼育のあり方」を作成。全国の幼稚園及び小学校に配布予定。…「適切な動物飼育を行うためには獣医師の協力を得ることが必須である」ことを強調。
 
(5)平成12年11月 冊子の配布
  • 学校飼育動物の診療ハンドブック(日本獣医師会作成)
  • 学校飼育動物のすべて~子供とゆとりある飼育を楽しむために(中川美穂子監修)
 
(6)平成13年2月 学校飼育動物に関する講習会の開催
  • 講師 日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策副委員長 中川美穂子 先生
 
(7)平成15年10月29日 県教育委員長への要請
  • 県獣医師会会長 布施康正
  • 学校飼育動物対策委員長 宮川 保
  • 県獣医師会専務 遠藤恭介
 
(8)平成15年12月11日 学校飼育動物公開シンポジウムの開催
  • 「学校教育と飼育動物のあり方」 文部科学省視学官 島野道弘 先生
  • 「子どもたちに生命尊重と共感を育てる動物飼育のすすめ方」 日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策副委員長 中川美穂子 先生
  • 「生活科における飼育指導の実践例」 新潟大学付属新潟小学校教諭 長沼智之 先生
  • 「新潟県獣医師会における学校飼育動物への取り組み」 県獣医師会学校飼育動物対策委員長 宮川 保 先生
  • 総合討論:質疑応答

新潟市獣医師会の学校飼育動物への取り組み

(1)経過

 平成5年度より新潟市の教育委員会と新潟市獣医師会が学校飼育動物に対する検討会議を開き、新潟市における飼育動物の実態調査、及び診療実績調査を行い、その結果に従い平成6年度より飼育動物診療・飼育指導委託契約をむすび、平成9年度より健康診断を加え、飼育動物診療・飼育指導・健康診断委託契約とし、学校飼育動物診療事業を実施している。

(2)学校飼育動物診療事業の概要

 学校(園)飼育動物診療事業~新潟市において~

目的:
この事業は学校(園)名度の教育施設において飼育される動物の健康診断と飼育指導並びに診療を実施することにより、学校飼育動物が適正飼育されること、並びに児童、生徒の健全な育成と動物愛護精神の普及啓発に寄与することを目的とする。

内容:
  • 新潟市教育委員会と獣医師会新潟支部が、学校飼育動物診療、健康診断、飼育指導に関する委託契約を結ぶ。
  • 獣医師は各学校(園)を担当する動物病院を明示し、担当した動物病院は、担当校の診療、健康診断、飼育指導を行う。
  • 教育委員会は、学校飼育動物の診療並びに健康診断、飼育指導に関する委託料を獣医師会に支払う。
  • 獣医師会は協力する動物病院に対し協力費、診療補助費を支払う。
  • 各診療、健康診断ごとに依頼書、報告書等を作成し、教育委員会、学校動物病院、獣医師会で保管し、年間集計を行う。
  • 担当獣医師は担当する学校、園に対し年一回、訪問による飼育動物の定期健康診断と、飼育指導を行う。
  • 獣医師会は必要に応じて飼育担当教職員及び生徒に対し飼育の指導を行う。
  • 獣医師会は、動物愛護精神の普及啓発と、人と動物の共通感染症に対する正しい知識の普及を計るため、飼育担当教職員を対象に講習会が開催される場合は協力する。

対象施設: 
  • 動物を飼育する新潟市立の、幼稚園、小学校、中学校、養護学校で、各校の担当動物病院を決め診療、健康診断、飼育指導を実施する。

対象動物:
  • 委託対象校(園)で飼育される全ての動物を対象とする。野生鳥獣は野生傷病鳥獣保護収容事業で対応する。

対象診療科目:
  • 内科、外科を問わず、すべてを対象とする。

 新潟市内の学校飼育動物協力病院は、それぞれ担当する小、中、養護学校、幼稚園に、診療、飼育に関する相談指導、年1回の訪問による健康診断を実施し、飼育委員会等への飼育・ふれあい方指導、保健衛生指導を行っている。(令和元年度の協力病院52病院、飼育校60校園、飼育頭数103頭羽、総診療件数154件)
 獣医師会は、担当動物病院へ診療と健康診断の実績に応じて協力費を支給し、教職員への講習会の開催と、希望校での生活科ふれあい授業の実施、また動物愛護教会と協力し、ふれあい動物教室と飼育優良校の表彰を実施している。また学校が新しく動物を飼育する際に、児童への感染症予防の観点からSPFモルモット(無菌)を推奨し斡旋を行っている。

(3)現状と問題点

 事業が始まってから20年以上が経過し獣医師会と教育委員会、動物病院、学校の相互協力のもと順調に取り組みが行われています。定期健康診断の実施、教職員向けの学校飼育動物に関する研修会へ毎年参加協力を行ってきた事や、一般的な動物飼育レベルが向上している事もあり、各学校の動物飼育状況は概ね良好です。飼育動物種はモルモット、ウサギが8割を占めており、今後もその比率は増していくと思われます。学校から挙げられる問題点としては、動物に対する児童のアレルギーへの対処、休日や長期休暇の飼育方法、高齢動物への対応などがあります。これについては各担当動物病院が相談、指導を行っています。また飼育校数と飼育頭数は年々減少傾向にあります。動物が亡くなってその後は飼わない学校が多い事や、新たに飼う学校が少ないようです。その理由としては、上記の問題点や教職員の負担増から各学校の判断で飼育しないのではと考えられ、今後の課題として具体的な解決策の検討を行っております。これからも獣医師会では、多くの学校で多くの動物が適正に飼育され、安全に生徒さんと触れ合えるよう支援していきます。

新潟県獣医師会としての今後の取り組み

 新潟県獣医師会では、学校飼育動物対策事業を重点事業と捉え平成13年より、学校飼育動物対策委員会を設置、県内を12地区に分け委員を選出し、対策を協議してきました。今後の目標は学校保健法改正による学校獣医師制度の確立を目指しますが、当面は各市町村での条例による学校獣医師制度または各市町村との委託契約を目標に活動を行うことにしました。

(1)学校獣医師の任務

 学校にかかわる獣医師の役割は、①飼育動物の疾病の予防と治療、②飼育動物の健康診断、③教員、児童への飼育指導、④児童への動物愛護指導、⑤保健衛生指導とし、県内の獣医師会会員に協力をお願いした。
 
※現在、新潟市・三条市・燕市・佐渡市が委託契約を結び、上記の新潟市の委託契約に準じて活動を行っています。

(2)事業の内容

①疾病の治療
 各学校からの各動物病院への依頼による自由診療とするが、依頼書、報告書、治療費を定めて実施。獣医師会で年間の診療実績を取りまとめ教育委員会に報告する。

②モデル校を設定し、訪問による健康診断、飼育指導、飼育委員会に対す動物愛護指導を実施。

③希望校での生活科等でのふれあい授業
 地区委員へふれあい授業に必要な実験用心音計、二又聴診器、紙芝居を配布。

④教師に対する講習会
 地区委員へ教師向け講習会用CD-ROMを配布し各地域での要望にこたえる。

⑤飼育マニュアルの配布

(3)行政への対応

 各市町村の教育委員会が交渉の単位となるので各地区委員が各教育委員会と折衝し、各地域の学校飼育動物の実態調査を実施すると共に学校飼育動物に対する理解を求めた。各地域での実体が把握された後は、教育委員会へ要望書を提出。

(4)学校への対応

 学校からの依頼はどのような内容でも断らない、困難な場合は、地区委員に相談す
る。実施した事は、依頼書に記入してもらい、報告書を学校長に提出し、実績を積む。

(5)獣医師への対応

 獣医師会会員に学校飼育動物への理解、協力をお願いし、ウサギ、ニワトリ、モルモット等の診療、飼育、飼育指導に対する知識と、ふれあい授業等に対する知識の充実を図るため講習会の開催。

(6)各地域での対応

 各地域で協力する獣医師の会を設立し、行政に対応する窓口を作る。あわせて地域の学校飼育動物委員会を作り対応を協議する。

(7)県獣の対応

 県獣医師会は、県、教育庁に要望書を提出し、国に学校獣医師制度創設のための意見書提出と、県内の学校飼育動物の実態調査を実施すると共に、各地域の教育委員会に学校飼育動物の現状と獣医師会の取り組み、各地域での活動について通知することを要望する。また県内各地域の実態調査を行うと共に、飼育指導マニュアル、教師向け講習会マニュアル、ふれあい授業マニュアル、診療料金マニュアルを作成配布する。


  公益社団法人新潟県獣医師会では、公立の小学校、中学校、幼稚園、特別支援学校の飼育動物の衛生と健康を保持し、効果的に教育活動ができるように、健康診断・診療・飼育指導を行っております。
 
新潟市、三条市、燕市、佐渡市(令和4年度)
 
 また、学校飼育動物支援事業について普及活動を行っており、令和5年2月3日には「がっこう動物新聞第11号」を県内の小学校に配布させていただきました。

学校飼育動物支援協力病院一覧

 
 
学校飼育動物協力病院とは~
 
 県内の小学校等の教育施設で飼育される動物の健康診断、飼育指導、保健衛生指導及び診療を行っています。
 また、災害発生に備え、学校飼育動物の飼育状況、衛生状況を把握し、災害時に飼育管理を協力する病院です。
 
 学校で飼育している動物のことで聞きたいことがありましたら、お近くの動物病院にご相談ください。
【新潟市】西新潟ペットクリニック・ときめき動物病院・あさい動物病院・石山動物病院・稲垣動物病院・東明動物病院・いわかべ動物病院・えみ動物病院・どうぶつの病院レガーロ・ノブ動物病院・カタノ動物病院・かとう動物病院・かねうち犬猫病院・近江動物病院・川島動物病院・川村動物病院・くまちゃん動物病院・空港通りの動物病院・たけペットクリニック・小島動物病院アニマルウェルネスセンター・コーラル動物病院・ぼの動物病院・あかね動物病院・ニイツ動物病院・鈴木動物病院・大通どうぶつ病院・草村動物病院・高木動物病院・田中動物医院・動物病院ねこのて・とりや動物病院・長島愛犬愛鳥病院・永松動物病院・ペットクリニックZero・エンジェル動物病院・山の下ペットクリニック・長谷川動物病院・アニマルクリニック東新潟・江南動物病院・本間どうぶつ病院・こばり動物病院・宮川動物病院・宮下動物病院・宮島動物病院・森谷どうぶつたちの病院・もろみざと動物病院・荻川どうぶつ病院・エルム動物クリニック・しろね動物病院・はる動物病院・動物夜間急患センター新潟
【村上市】エミ動物病院・小野動物病院・さかまち動物病院
【新発田市】にいの動物病院
【胎内市】熊倉動物病院
【三条市】ごちょう動物病院・坂田動物病院・TAROファームケアクリニック・パインズ動物病院
【燕市】こじま動物病院・どうぶつ病院JET・さくらまち動物病院・渡辺動物病院
【見附市】見附動物病院
【長岡市】シートン動物病院・たぐち動物病院・紺和動物病院・ワンペットクリニック・ステラ動物病院
【柏崎市】シートン動物病院柏崎・もたい動物病院
【魚沼市】ゆきのくに動物病院・こいで動物病院
【南魚沼市】阿部動物診療所・六日町動物病院
【十日町市】すまいるペットクリニック・竜どうぶつ病院・げん動物病院
【上越市】あまみ動物病院・さいがた動物病院・はっさく動物病院・ゆるり動物病院・上越家畜診療所
【佐渡市】佐渡犬猫動物病院・葉梨動物病院・平泉動物病院

各支部の活動紹介

新潟市教育委員会では毎年、小学校の教員を対象に研修会を開催しております。

 
 
「令和元年度学校飼育動物に関する研修会」新潟市教育委員会主催
 
 令和元年5月15日(水)14:00~16:30
新潟市役所分館1-106会議室
参加者:小学校・特別支援学校・幼稚園、及び飼育動物のいる中学校の教諭65名 
講  義:「学校・園での動物飼育について」 講師:宮川 保先生
グループトーク:10グループに分かれ勤務校の飼育紹介と飼育相談
協力獣医師(指導)12名
飼育活動の紹介:紫竹山小学校

三条市での活動紹介

 新潟県獣医師会と三条市では、令和2年度も健康診断、飼育指導、病気や外傷に対しての動物診療、特別授業等の実施について委託契約を結んでおります。
 この契約は11年目なりました。今年度は三条市内の13の小学校を4つの動物病院で担当し、事業を行う予定です。
今年度最初に授業が行われた三条市立飯田小学校での活動をご紹介いたします。
 飯田小学校は三条市の旧下田村にある小学校です。昨年までは飼育動物はいませんでした。今回のコロナ騒動、そして先生たちの話し合いにより、優しい生徒に育ってほしいとの願いもあり、動物飼育に踏み切ったそうです。1年生は18名、全体でも90名くらいの学校です。飼育は1年生の生活科の一部としておこなわれています。
 新潟県獣医師会では希望の学校には飼育動物のプレゼントを行っており、今回の授業はモルモットの触り方から始まり食事、特徴、飼育の注意事項等を30分ほど行いました。その後、生徒からの質問に答えて終了する予定でしたが、ほぼ全員から熱心な質問があり、時間オーバーになりましたが、関心の高さを感じました。
 

各学校へのお願いと参考資料

学校飼育動物における主な人獣共通感染症

動物種
病名
原因
感染経路
ウサギ
皮膚糸状菌症
真菌
接触
パスツレラ症
細菌
経皮
ハムスター・モルモットなど
皮膚糸状菌症
真菌
接触
鼠こう症
細菌
こう傷
インコ・十姉妹
オウム病
クラミジア
経気道感染
パスツレラ症
細菌
経皮
ニワトリ・チャボ・ウズラ
ニューカッスル病
ウイルス
接触・経口
サルモネラ症
細菌
接触・経口
大腸菌症
細菌
接触・経口

人獣共通感染症を防ぐポイント

  1. 正しい飼育知識を持つ
  2. 飼育環境を清潔に保つ
  3. けじめを持って接する
  4. 手洗い、うがいをする
  5. 定期的に検診を受ける

参考資料

  • 学校飼育動物のすべて 中川美穂子・監修 ファームプレス
  • 学校飼育動物の診療ハンドブック 日本獣医師会
  • 動物飼育の辞典 岡田要・監修 東陽出版
  • 初等中等教育における生命尊重の心を育む実験観察や飼育の在り方に関する調査研究 須貝太郎

資料パンフレット&学校飼育動物関連リンク

特集

高病原性鳥インフルエンザの症状と学校飼育動物への対応

主な症状

  • 潜伏期間 3~10日位
  • 食欲・飲水欲の低下、羽毛逆立ちと沈鬱
  • 顔面肉冠もしくは脚部の浮腫、出血斑もしくはチアノーゼ
  • 産卵の停止
  • 呼吸器症状(ゼーゼー)、下痢、神経症状  突然死    
等々症状は多様であり、病気になったときの判断は難しいため早い段階で獣医師に相談する。
飼育する鳥がばたばたと続けて具合が悪くなったり、死亡したりしない限り基本的には心配ない。

消毒

<参考1>
逆性石鹸は、オスバンやベンザルコニウム液など500mlの商品から業務用1Lのパコマやアストップなどがあります。手指の消毒には、100倍から200倍の濃度が推奨されています。また1000倍で噴霧して使用しても効果があります。
 
<参考2>
ピューラックスは、小学校のプールの消毒に使用されている為、殆どの小学校が所有しており、手軽な消毒薬です。製品の裏に、使用説明がありますので読んでください。
(注)ピューラックス(次亜塩素酸ナトリウム6%) ない場合、薬局で購入してください。水2Lに対してキャップ1杯(付属のキャップの容量は約6ccあります)を取り混ぜたものを使用してください。
 
<参考3>
キッチンハイター(次亜塩素酸ナトリウム 濃度不明記述なし)を使用する場合。
水5Lに対してキャップ2杯(付属キャップの容量は約25ccあります)を取り混ぜたものを使用してください。

<参考4>
床が土の場合、糞便などの消毒として消石灰を撒くと効果があります。
詳細は、各都道府県の獣医師会及び家畜保健衛生所でお聞きください。
 
子供たちや先生には、「鳥インフルエンザが発生したら大変なことになるではなく、動物と接触する場合は手洗いやうがいをしっかりと行い、動物から人へ、あるいは人から動物へ病気がうつらないように、普段から気をつけて生活し、動物を可愛がりましょう。」とお話いただければ幸いです。

学校飼育動物への対応

 高病原性鳥インフルエンザについては散発的に日本各地で野鳥または家禽での感染が確認され、今後感染の拡大が心配されています。
 学校飼育動物における高病原性鳥インフルエンザへの対応は、下記の3段階に分けられ、それぞれのレベルに合わせた対応が必要です。
レベル
対策
http://www.niigatakenju.or.jp/files/libs/408/202003051400105064.gif
平常時、国内に発生なし
1.健康状態の観察の徹底
2.野鳥が飼育舎に侵入するのを防ぐ
3.衛生管理の徹底
4.飼育舎の清掃、接触前後の手洗い、うがいの徹底
5.新しい動物を導入する場合は、獣医師に相談し、健康な動物を選ぶ
http://www.niigatakenju.or.jp/files/libs/409/202003051400108512.gif
日本に発生
隣接県に発生なし
対応レベル1に以下の対策項目を追加する
6.野鳥の糞との接触は避ける
7.飼育舎の出入りの際には消毒槽などで靴を消毒する
8.プール等に水鳥が飛来できないようにする
9.複数または連続して死亡する等の異常を発見した場合は、獣医師、家畜保健所に連絡する
http://www.niigatakenju.or.jp/files/libs/407/202003051400081466.gif
県内で発生、または
近隣県で発生
以下の対策項目を追加する
10.日常の飼育は獣医師の指導の下に、教師が行う
11.衛生部、教育委員会、医師会、獣医師会が対策委員会を設置し速やかに対応に当たることが望ましい

新潟県内の動物飼育についてのアンケート結果

 新潟県獣医師会で令和2年8月に新潟県内の小学校に動物飼育についてのアンケートを実施し、取りまとめましたので報告いたします。
 新潟県内の小学校数451校の内、新潟市106校、三条市19校、燕市15校、佐渡市22校は委託契約が行われているので除外しました。
 289校にアンケートを行い、236校から回答をいただきました。(回答率82%)
1.回答をいただいた236校の内
飼育動物がいる:91校  飼育動物がいない:119校  飼育予定がある:26校
2.かかりつけ獣医師がある:54校  かかりつけ獣医師がいない:26校  不明(無回答):20校
飼育していないがかかりつけありと答えた学校もあり
3.飼育している動物種(複数飼育している学校もあり)
ウサギ:40校  モルモット:19校  ヤギ:20校  ハムスター:11校  ヒツジ:3校
ウシ:1校  カメ:2校
 
まとめ
 獣医師会の指導で鶏等の鳥類は鳥インフルエンザがあり飼育に知識と施設の問題点から飼育数が激減いたしました。十日町地域、上越地域では伝統的にヤギ、ヒツジ等の中型動物の飼育が多く行われており、幸い家畜診療所が診療指導に関わっていただいているので問題点も少なくなってきているようです。
 かかりつけ獣医師のいない学校もまだまだ多く、今後飼育を検討しているのに踏み切れない理由になっているようです。なるべく多くの市町村が委託契約を結び、健康で安全な動物飼育と先生方にも不安と負担の軽減を図れるように地域に連携をとって学校飼育を進めていく所存であります。
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